【書評,レビュー】『ハヴァシュ・バイオリン奏法 力みをとり、あがりを克服するアプローチ』


2015年9月に発売されたバイオリン関連本。

Amazonから注文して、読了しました。


『ハヴァシュ・バイオリン奏法 力みをとり、あがりを克服するアプローチ』の内容は?

本の題名にもなっている「力みをとり、あがりを克服する」につながる内容ももちろんあるのですが、それ以外にもバイオリンを扱う上で具体的な左手、右手の使い方についても譜例を交えて著述されています。

本全体としては、 バイオリンの音質、身体の痛みやあがりに悩むすべての方に書かれたされていて、実際にそう書かれてあると思います。
抽象的なことばかり書かれてあるのかと思いきやそんなことはなく、練習する譜面まで具体的に書いてあるところがいいです。

著者のカトー・ハヴァシュ(Kató HAVAS)氏は、ハンガリー出身のバイオリニストで、
かつて神童と呼ばれプロとなり、結婚を機にプロ演奏家を引退されたそうです。

具体的技術について書かれてある、と先に述べましたが、
それらの技術について一貫して「身体的緊張を伴わない」ことを強調しています。
大きな音を出すために弓をバイオリンに力強く押し付けて、結果的に音を潰してはいませんか?
音を出す上での身体的緊張について、すなわちどんな体の使い方、力の入れ方をすればよいのかが書かれてあります。

「肩が凝る」「首が疲れる」「腕が痛い」「指が痛い」etc...
これらをバイオリン演奏から消し去り、音楽することをこの本は目指しています。

著者の言葉で引用させて頂くと、
肉体的な不快感をとりのぞき、精神に音楽を支配させるアプローチ”が必要なのだとハヴァシュ氏は気がついたそうです。


バイオリンの構え方、ボーイング、ビブラート、ポジション移動、重音、
そしてスピッカートやデタッシェ、マルテレ、レガート、スタッカート等の個々の技術の大前提となる、

いかに脱力するか

がとても丁寧に解説されています。


自分の目指すバイオリンの音にしていきたいと願うバイオリン弾き全員にとって、素晴らしい内容になっています。



『ハヴァシュ・バイオリン奏法 力みをとり、あがりを克服するアプローチ』のを読んでの感想

この記事を読んでくださっているバイオリンに携わるあなたは、バイオリンを弾いてきた今までで身体的な痛みを感じたことがある、あるいは現在進行形で感じていませんか?
私は顎や首などの痛みは抱えたことがあまりないのですが、右腕の三角筋あたりが痛んだ経験があります。下の画像の赤い部分あたりですね。

右腕はボーイングする腕で、そこに痛みを感じるということは、
右腕の力の入れすぎです。

そんな経験もあり、興味を持って読みました。
すると、身体的な痛みを感じている原因がわかりました。

私の場合、弓を持っている親指の役割の重要性にあまり気がつくことができていなかったのです。
そして、著者が言う”空を飛ぶような”右腕になる練習をこの本を参考にしながら最近実践して、ボーイングがとても楽になりました


この本には他にも心に残った言葉がたくさんあります。
練習の目的は力を強化することではなく、消すこと”という言葉には、はっとさせられました。
もともとバイオリンを弾くということは、力のたくさんいることではないはずです。なのに、力が入ってしまい、音楽はおろか自分の身体まで痛めてしまう。。。
力強い音を出す、魂が震えるようなビブラートを出す、これらすべてはいかに脱力するかにかかっているということです。

この本は、自分が理想とするバイオリンを弾く一歩を踏み出すことを手助けしてくれたと思っています。

おすすめです。
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