【随時更新】有名プロバイオリニストも使用するおすすめのバイオリン弦の種類は?弦の比較の参考に。
【最終更新:2017年5月19日】
バイオリンを弾く人間にとってどんな弦を選ぼうかというのはいつも悩みの種、
というよりかは楽しみです。
バイオリニストはどんな弦を使っているのだろうと日本語で検索してもなかなか良さそうなページがないなぁ。。。
ということで英語で検索してみたところ、
有名なバイオリニストが使っている弦の種類ということで記述されているサイトを見つけました。
http://www.violin-strings.com/famous-violinist-string-brands.php
このサイトには故人も含まれており、
存命の方でも現在は違う弦を使っているかもしれないので記事の内容の保証はしません。
2番煎じではあるのですが、まとめてみました(バイオリニストの順番はなんとなく不自然だと思ったので変えました)。
動画も貼ってみましたが、弦との関連があるわけではありません。どんなバイオリニストなのかの参考です。
興味半分くらいで見て頂けると幸いです。時代によって弦や松脂は品質が変わることもあるので、ご留意を。
内容としては、有名バイオリニストの弦についてのサイトを見て現在発売されてる弦を追ってみよう、
という感じです。
ヴァイオリン弦と同時にこだわりたいのが松脂。
もしよろしければこちらの記事も合わせてご覧ください。
【随時更新】おすすめのヴァイオリン松脂、種類、特徴、選び方など。松脂のアレルギーでお困りの方も。
弦ってどんなところに注目して選べばいいの?という方はこちらもご覧ください。
【必読】ヴァイオリン弦選びで悩む人が知っておきたい弦比較のコツ。
ボーイングの改善についてはこちら。
【徹底検証】ヴァイオリンのボーイング(右手)が上達するためには
ヤッシャ・ハイフェッツ(Jascha Heifetz)
バイオリニストの王とも言われたヤッシャ・ハイフェッツ。
真似をするなどおこがましく、尊敬すらはばかれるほどの技巧。
ただ見ること、ただ聴くことしかできない天才バイオリニストのうちの一人。
使用していたのはE線にゴールドブラカット(Goldbrokat)らしい。。。
A線とD線にはプレーンガット、G線にはいくつかの巻線を使っていたそうです。
E線にゴールドブラカット(Goldbrokat)はかなり多いですね。
素直な音色はもちろん、安価なのも支持されているように思います。
ゴールドブラカット バイオリンE線 (0.26ループエンド)
ゴールドブラカット バイオリンE線 (0.26ボールエンド)
お得用のゴールドブラカット12本セットもありますね。
新鮮な(?)ゴールドブラカットに頻繁に交換したい人にはいい感じ。
ゴールドブラカット12本セット (0.26ループエンド)
初心者の方はご自身のバイオリンのE線のアジャスターをご覧になって、
ループエンドを買うのかボールエンドを買うのか間違えないように気をつけてください。
ハイフェッツがどんなプレーンガットを使っていたのか、などGDA線の情報はあまりよくわかりません。
プレーンガットは現代では意思を持って選ばない限り弾くことはないでしょう。
ハイフェッツとは関係ないですが、今売りだされているToroのガット弦はいい音しますよ。シープガットで湿度変化にはもろ影響されますが、音色は抜群です。
TORO ガット弦 バイオリン用 シープガット裸線と銀巻のミディアムセット
ちなみに、ヤッシャ・ハイフェッツの伝記(ヤッシャ・ハイフェッツ―世紀のバイオリニスト
)あります。
私もこの本購入して持っています。
ハイフェッツの生い立ち、どのようにして偉大なバイオリニストなっていったのか、
興味深いところばかりです。
技術的な面にも触れているところがあり、ハイフェッツの伝記からバイオリン演奏上達のヒントが得られるかも。
【追記 2016/05/18】
ゴールドブラカットプレミアム(Goldbrokat PREMIUM)という弦が新しく発売されたので購入し張ってみました。
ブラススチールではなくただのスチールを買ってみました。ブラススチールは試していないのですが、素材からしてスチールより柔らかく音質も柔らかくなっているのでしょう。
結論から言うと、旧来のゴールドブラカットの進化系とみなして良いと思います。ゴールドブラカットの素直さや音の通りやすさに加えて、より豊かな響きがあるように思います。クセがなく飽きが来ないのもいいですね。寿命は従来のゴールドブラカットよりも長い。値段はゴールドブラカットよりも少し高いですが、普段ゴールドブラカットで安くおさめていても本番ではプレミアムにしてみるという選択肢もありだと思います。ゴールドブラカットを使っている人にはゴールドブラカットプレミアムは無理なく移行できて、より良い音を表現できるでしょう。
【追記 2016/08/03】
ゴールドブラカットプレミアムのブラスチール0.26を試しました。ブラスとは銅と亜鉛の合金で、真鍮ともいうようです。金色です。実際に写真を撮りました、こんな感じです。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、金色です。金メッキとは別です。
評判どおり確かに音の響きはまろやかで広がりがあります。ただ私の感覚ではちょっとレスポンスに欠けます。ブラススチールという素材が面白いと思ったので試してみたのですが、うーん。。。このブラススチールや、コーティングされてあるスチールは音色は良くてもレスポンスを犠牲にしがちで、最初は良くてもだんだん弾いていて疲れるといいますか、来て欲しいタイミングで音が来ないといいますか。。。
単純にスチールのほうがレスポンスが良くて私の好みに合うというだけで、このブラススチールも良い弦だとは思います。強く音が出すぎないし、柔らかい音が出ます。
ナタン・ミルシテイン
さきほど紹介したヤッシャ・ハイフェッツと同門、アウアーの門下生。
「バイオリンの貴公子」と称される偉大なバイオリニストのうちの一人。
私としてはミルシテインといったらパガニーニアーナ。 上の動画です。
確かな技巧、凛とした音色、軽やかな弓さばき、どれを見ても素晴らしい。
さて、1960年代、ナタン・ミルシテインはG線D線にオイドクサ、A線にはプレーンガット、E線にはゴールドブラカットだったらしいです。
PIRASTRO社の名作、EUDOXA(オイドクサ)
オイドクサにはナイロン弦にはどうしても出せないガット弦特有の温かみがあるように思います。
20世紀の偉大なバイオリニストはオイドクサけっこう使ってらっしゃいます。
ガット弦に一般的に言えることだと思いますが、調弦は狂いやすいです。
なのでレッスンや発表会、コンサートでの使用はアマチュアには音程という面でも厳しいことが否めないと。
ですが、オイドクサを買ってみて家で弾いてみてどんな音色か個人的に楽しむのはアリだと思います。
興味のある方はぜひ一度バイオリンに張ってみてください。
ジノ・フランチェスカッティ(Zino Francescatti)
フランチェスカッティの父親はパガニーニの弟子のシヴォリの弟子だったそうで、つまりパガニーニの系譜を色濃く受け継いだ人と言えますね。
さて、フランチェスカッティはG線にオイドクサ、D線にカプランのシルバー巻、A線にオイドクサ、E線にゴールドブラカットらしいです。
ここにきてカプランがきましたね。
カプランのD線シルバー巻。。。と書いてあるものの、どんなものなのか。。。
ただでさえこの記事に載せてるバイオリニストたちは巨匠過ぎて弦の紹介なんてするのさえおこがましいほどなので、
カプランについてはフランチェスカッティと関係なく参考に。
カプラン(KAPLAN)といったら私の中では最近E線に使う人がいるなぁという印象。
私は使ったことがないのですが、機会があれば一度使ってみたいなと。
カプランのE線はひっくり返らないということで一定の支持があるように思います。
E線がひっくり返るというのは、弾いて普通の音が出るのではなくかすれるような感じでしっかり発声しないような状態です。
【後日追記】
KAPLAN Golden Spiral SOLO(カプラン ゴールデンスパイラルソロ)を試しました(Extra Heavy)。
E線の音として比較的細く鋭い、といった印象です。音のクセは少なく、もしゴールドブラカットを使用してる人、あるいはイメージがつく人なら違和感なく移行できるでしょう。音が太いわけではないので、ふわーっとした広がりよりもスッと届く音を目指す人にはうってつけでしょう。
【後日追記】
Kaplan Solutions(カプラン ソリューション)を試しました。
このE線はとにかくひっくり返らない。
そして特筆すべきはアルミ巻だということです。下記のパッケージをよく見ると、「alminum wound」と書かれていますよね。これはアルミ巻ということで、スチールの周りにアルミが巻いてあります。E線アルミ巻きは他にもドミナントやオイドクサにもあります。
スチールがキンっとなって嫌だなとか、ヴァイオリンらしい温かい音が欲しいなと思ったら、E線にはアルミ巻きを選ぶという選択肢もあります。スチールのE線だけ音がいびつに感じる人にもいいかもしれません。ただ、聴く人によってはぼやけていると思う人もいます。自分が弾くのと、他人が聴くのとでは違うのでいろいろ考える必要はありますが、アルミ巻きのE線を張ったことがないなら試してみるのは大いにアリだと思いますね。
ダヴィッド・オイストラフ(David Oistrakh)
オイストラフもファンが多い偉大なバイオリニストのうちの一人ですね。
オイストラフが好きすぎる人はオイ様オイ様と言ってますね。。。
オイストラフの録音ではショスタコーヴィチを挙げようかなと思ったのですが、
上の動画のドビュッシー「月の光」にオイストラフの歌い方の良さがあるようにも思うので、
代表して挙げてみました。
オイストラフはG線とD線にオイドクサ、A線にプリムのスチール線(あるいはクロムコア)、E線にプリム、とあります。
プリムが出てきましたねー。
スウェーデン・フロジェル社のスチール弦。
音の立ち上げりが良く、明るいらしいです。
プリムといえば、使用してみたいなぁと思ってるのがLisaというE線。
バイオリンはE線だけでもいろいろありますよね。。。
【後日追記】
プリムのLisa(リサ)というE線を試しました(Medium)。ステンレススチールという素材で、なかなか錆びないというのは事実ですね。値段はゴールドブラカットなどよりも高いですが、寿命を考えるとペイするでしょう。
音色はE線のなかで比較的明るいと思います。ADGにも明るい弦を使っている人には無理なく使えると思います。弦自体に弾性があり、ADGの弦にも良い影響を与えているなと思えるほどのしなやかさ、柔軟性もあります。弦の組み合わせ、楽器との相性が合えば抜群の弦となるでしょう。
ヘンリク・シェリング(Henryk Szeryng)
シェリングということで、ここはバッハの動画を挙げておきます。
晩年のほうが演奏者としての花が開いたという、少し他のヴィルトゥオーゾとは違う感じのバイオリニストだと認識してます。
バッハ解釈で有名。
シェリングとバッハについて、渡辺和彦氏の『ヴァイオリン/チェロの名曲名演奏―弦楽器の魅力をたっぷりと』から少々引用させて頂きます。
”バッハは(編集略)単旋律の楽器とされるヴァイオリン1梴による、様々な和声的、対位法的な響きや、線の絡みの美しさ、面白さを追求している。そのため、当然ながら、重音箇所が非常に多い。(編集略)シェリングは現代楽器ですばらしいオルガン的な和音を響かせている。”
シェリングはG線D線にオイドクサ、A線にカプラン、E線にはピラストロゴールドかカプランだとあります。
カプラン、ちょくちょく出てきますね。
PIRASTRO社のゴールドもE線として有名。
ピラストロゴールドはスタンダードなE線という認識がありますね。
ピラストロのゴールドは音の芯の太さがあり、音が伝わりやすいです。伸びやかさもあり、はっきりとした発音がとても良いです。音にクセもなく、自分でピラストロのゴールドを張って録音して聴いてみると、E線の本当に美しい音が鳴っていることがわかりました。とてもおすすめです。
ちなみに、E線になにをチョイスするかはかなり重要だと思います。E線の押さえやすさや裏返らなさ、音色、そしてG線D線A線に対してどのような響きの影響を与えているのか注意深く観察するのが大事ではないかと。
アイザック・スターン(Isaac Stern)
日本の小澤征爾とも親交があったらしい。
日本に少なからぬゆかりのあるバイオリニストですね。
名前くらいは聞いたことあるなという方もいらっしゃるかもしれませんが、
『屋根の上のバイオリン弾き』でもバイオリンを弾いています。
アイザック・スターンはG線D線A線にオイドクサ、E線にゴールドブラカットで、後にドミナントへ変更したとあります。
出てきましたね、ドミナント。
現在のバイオリン弦ではドミナントが最も普及しているでしょう。
バイオリンを買う人、バイオリンを始める人がまず弾くことが多いのがドミナントだと思います。
初心者用というわけではなく、プロも多く使用する現在最もポピュラーなバイオリン弦。
Dominant ドミナント 4/4 あるいは E:ゴールドブラカット A.D.G ドミナント
セットで1万円を超える弦もある中では、比較的安価です。
音色にクセもなく、迷っているならドミナントという選択肢は無難だと思います。
多くの弦を試して、一周まわってドミナントにしたという人の話もよく聞きます。
E線に関しては、ゴールドブラカットやピラストロゴールドとの組み合わせをする人が多かったようですが、最近はE線の種類も豊富で一概には言えないと思われます。
深い音色とか、明るい音色とか、弦に特色がありすぎるとバイオリンじゃなくて弦の音がしているような気がして、最初はいいものの段々飽きてくるような気がします。私個人としては、弦はドミナントのように個性を持ちすぎず、純粋にバイオリンを響かせてくれる中性的な弦が好きです。
無難、という言い方をするとプラス面を強調できませんが、ドミナントは本当に素晴らしい弦です。ドミナントの良さが分かるにはヴァイオリン技術がある程度ないといけないかと思われます。ドミナントの良さは弦のしなやかさにあり、テンションが低くないもののハイポジションでの弦の柔らかさが弾いていてとても心地よいのです。たとえばインフェルドのレッドなどはハイポジションの時にテンションの高さと弦のしなやかさが弱くけっこう鳴らすのがしんどいという印象が私にはあります。私は様々な弦を試しましたが、結局ドミナントの良さがわかるようになり、ドミナントに現在落ち着いています(2016年5月27日)。
弱点としては、寿命でしょうか。毎日3時間くらいは弾いて基礎練などでゴリゴリ使っているとわりと簡単に弦が死にます(笑)。「あ、もうこいつ死んだな」という感じです。ですが、アマチュアの方で毎日1時間も弾かない人は弦を酷使することもないですし、ポジション移動を覚えていない時期ならなおさら弦の寿命は変わります。たとえばドミナントを半年張っている、とただ言葉だけ聞けば「えっ。。。???」という感じですが、週に1回しか弾かない人などであれば納得です。
弦の交換時期はどのように判別すればよいのかは人によって違いますし、もうこれははっきり言って自由だと思います。交換したいなと思ったら交換時期でしょう。交換すると、前の弦がどれくらい消耗していたかがわかります。そうするとだんだん自分の中にデータがたまっていくので、あとは感覚に任せるか、コンサートなど発表の場がある日にちに合わせて変えれば良いのです。
コンサートや発表会の何日前に弦を変えれば良いのかという話もあります。1ヶ月前と言う人もいれば、数日前という人もいます。ガット弦などでなければ、たとえばドミナントであれば数日前、あるいは前日くらいで十分だと思います。調弦がいくら安定している弦とはいえ、数日前くらいに変えたのでは本番前であってもまだ弦が伸びて低くなると思う人がいらっしゃるかもしれませんが、その通りです。だから演奏前に調弦するわけです。調弦の安定とは、曲の演奏前に調弦をして曲を弾いている間に弦が伸びて狂わないかどうかが問題なのです。弾く前に調弦をしたのに弾いている間に狂うのはかなり音程がしんどくて、オイドクサなどガット弦は注意が必要です。ですが現代のナイロン弦の多くは調弦が安定しており、演奏中に弦が大きく伸びたり張ったりすることは比較的少ないです。ドミナントくらいであればたとえば夜がコンサートで朝に弦を替える、というのもありかもしれませんが、前日の寝る前に張り替えておいてヴァイオリンを寝かしておく、このような考え方が個人的には好きです。
弦の交換の目的は、新しい弦にすることでより豊かな響きをもってヴァイオリンを演奏することです。なので本番と交換時期は近ければ近いほど望ましいのです。あとは、演奏前に調弦をして、演奏中に演奏に差し支えるほど弦が狂うかどうかなのです。演奏前の調弦に自信がない人は、まだ弦の交換時期などを考える段階ではないということです。弦のことについて考える前に、調弦について考えるべきです。調弦は簡単なように見えて難しいことです。ヴァイオリンを演奏するには確かな調弦技術が不可欠で、調弦の訓練はなされてあるべきです。初心者の方はまだボーイングが安定していないので重音を弾くことが難しく先生に調弦をしてもらうことになると思いますが、ボーイング技術が上がってきて完全5度の響きを感じとり調弦できるようにしていくのはヴァイオリンを弾く上で第一歩です。もう何年もヴァイオリンを弾いているのにチューナーで1弦1弦別に弾いて音を確認するのは残念なことです。調弦が理解できるのであれば、1ヶ月のレッスンすべてを使ったってなにも惜しくはありません。ぜひさらっと調弦できるようになり、自分にとって最適な弦交換の時期を把握できるようになってください。(2016年5月27日追記)
ピンカス・ズッカーマン(Pinchas Zukerman)
ピンカス・ズッカーマンといえば、ビオラ弾きとしても有名ですね。
パールマンのバイオリンに寄り添うズッカーマンのビオラ、好きです。
Dominant ドミナント 4/4が出るまではEUDOXA(オイドクサ)だったとありますね。
東日本大震災後の日本を元気づけるために来日したバイオリニストでもあり、
日本との関わりが深いですね。よく日本に来てくれます。
イツァーク・パールマン(Itzhak Perlman)
日本ではお馴染みのパールマン!という印象です。
パールマン節のバイオリンはとても魅力があり、根強い人気がありますよね。
人によってはパールマンやりすぎじゃ!?と思う人もいますが、
遊びこころのある演奏は個人的に好きです。
ヒラリー・ハーン(Hilary Hahn)
ヒラリー・ハーンは女性バイオリニストとしてとても人気があります。
使用弦はドミナント、ドミナント使いとしても有名だと思ってます。E線はパールマンと同じくゴールド、とあります。
マキシム・ヴェンゲーロフ(Maxim Vengerov)
今生きていらっしゃる世界的なバイオリニストのうちでも最高峰の一人ですね。
演奏してるときの顔に私はいつも注目してしまいますが(笑)。
音楽も本当に素晴らしいと思います。
ドミナントを使っていたが、すべての弦をエヴァ・ピラッツィにしたとありますね。
EVAH PIRAZZI エヴァ ピラッツィ ヴァイオリン弦セット(E線:ゴールドスチール 0.26ループエンド)
アマゾンの商品説明を引用します。
”ピラストロ社の社長(ピラッツィ)名を使用した同社ナイロン弦のフラッグシップブランドです。
合成繊維を芯材に用い、深みのある音色と豊かな音量を最新技術で実現しています。。
参考ですが、オブリガートより少し硬めで深みのある音色でさらに音の立ち上がりが良いと言われおります。ソロ向け。”
エヴァ・ピラッツィも最近張ってる人が多い弦ですね。
大きな音、きらびやかさに特徴があり、それらを求める人はうってつけですね。
ジョシュア・ベル(Joshua Bell)もエヴァ・ピラッツィをセットで張ってるようです。
あとエヴァ・ピラッツィで思い出すのは庄司紗矢香。
庄司紗矢香さんには本当にがんばってほしい、応援してます。
さて、珍しくインフェルドブルー・ブルーと書いてある人がいます。
チョーリャン・リン(Cho-Liang Lin)
台湾出身のバイオリニストです。
ジュリアード音楽院で五嶋龍を教えたそうです。
使用弦はこの記事初登場、INFELD BLUE(インフェルド・ブルー)とあります。
INFELD BLUE インフェルド・ブルー 4/4 バイオリン弦セット
商品説明を引用します。
”レッドとブルーは同時に発売され、用途に応じてミックスでも使用が出来るように、全く同じ テンションに設定されています。
レッドは落ち着いた音色で、ブルーは輝きのある音色とされています。
また張替え後のピッチの早い安定化と、湿度に対する強い抵抗力もあります。
演奏者のさまざまな技術的要求に良く適応反応する柔軟性に富み音量も十分であり、 ソロ演奏、室内楽演奏等にもふさわしい弦でプロの方にも人気があります。”
私の印象では、どちらかと言うとインフェルドの赤を使ってる人のほうが多いです。
落ち着いた感じで深みのある甘い音色が特徴です。想像してるバイオリンの音はこれだった!と感動する人がいます。
インフェルドの赤はいいですよ(実際に試したことがある、というより今張っています)。
ドミナントよりも音量があって、音も太いので聴く人に伝わりやすいです。弦に”色”がある、と言ってる人もいますが、色があると思うのはパッケージの赤色に騙されているのかもしれません。実際にはとても中性的な弦で、明るくはなくどちらかというと暗い、だからこそ音色に深みが生まれるのです。暗い、という言い方に語弊があるかもしれませんが、明るいことと暗いことは弦にとっては等価値で、弾く人の好みです。ついつい「明るい」という言葉のポジティブさに引っ張られそうになりますが、自分にとって本当に奏でたいヴァイオリンの音をよくよく検討してみるべきだと思います。
INFELD RED インフェルド・レッド 4/4バイオリン弦セット
インフェルドの青と赤、ミックスしても使えるよ!とのことなのですが、
実際にミックスして使ってる人はあまり見たことないです(笑)。
赤が人気な気がしますが、青だって魅力的です。
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- 以下、参考サイトとは別に追記
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上記の弦以外を使っているヴァイオリニストを紹介。
(もちろん弦はヴァイオリニストの時期や好みにより変わることがあります。)
フランク・ペーター・ツィンマーマン(Frank Peter Zimmermann)
ツィンマーマンはパガニーニのゴッド・セイヴ・ザ・キングを挙げてみましょう。
イザイの無伴奏もいいですね。
ツィンマーマンも現代最高峰のヴァイオリニストのうちの一人です。すごいです。
ピラストロ弦の2大巨頭と言えばオイドクサとこのオリーブという弦。
ガット弦です。
オイドクサが温かさや穏やかさであるとしたら、オリーブは張りで音量もある艶やかな音が魅力だと思います。
当然ガット弦なので調弦に手間がかかりますが、最高の音を奏でてくれるガット弦のひとつでしょう。
音程に安定性がないのはちょっと、、、という方にはぜひオリーブのE線だけでも試してもらいたいです。
こちらはスチールでガットではありません。調弦は安定しています。オリーブに限らず、ガット弦と聞くと全部の弦がガットのように思うかもしれませんが、オリーブのE線はスチールです。つまり、他のE線などと同じようにおどおどすることなく使えるということです。A,D,Gは他のナイロン弦にして、E線はオリーブ、っていうのもいいですよ。
オリーブのE線はなんといっても艷やかで音に伸びがあり、かつ音量も出てとても良いです。
↓オリーブE線↓
金額以上の音を奏でてくれますよ。
ギル・シャハム(Gil Shaham)
先ほどオリーブのE線の話をしましたが、
次はJARGAR STRINGS ( ヤーガー ストリングス )のE線。
ギル・シャハムも使っていて、多くのヴァイオリニストがドミナントにヤーガーのE線を組み合わせています。確かにゴールドブラカットは安いしヴァイオリンの知識がない人には「とりあえずドミナントとゴールドブラカット張っておけよ」と言うのが通例かと思いますが、ヤーガーはかなりおすすめですよ。
音色はまろやかでかつクセがなく素直。でもゴールドブラカットのように鳴ってはすぐ消える感じもない。音の太さがしっかりあるのでその点はカプランのゴールデンスパイラルソロとは違う。下の写真の弦がヤーガー(Medium)。
ギル・シャハムについては英語のインタビュー記事がありました。
引用させてもらいます。(http://www.violinist.com/blog/laurie/20153/16682/)
”I do love the sound of the gut strings, I find them to be richer than the metals.
For a while I was using Olivs, and then for a while I was using Passiones. But then I had a couple of trips where it really was temperamental; they would squeak and they would go out of tune. So for concerts, I've sort of gone back to using the Dominants, just for safety. I have so much experience with them, so I feel like I know what they're going to be like, I know what they're going to sound like. And they adjust overnight.”
”私は本当にガット弦の音を愛しています。ガット弦は金属の弦よりも豊かに響くことを知っているからです。
しばらくの間、私はオリーブを使っていて、パッシオーネを使っていたこともあります。しかし、私はそれらの弦にどうしても存在する性質により何度かミスをしてしまったのです。つまり音をきいきいと鳴らしてしまい、音を外してしまうのです。コンサートのために、演奏の安定のためだけにドミナントを使うことに戻ってきました。私はドミナントに非常に慣れていて、だからこそドミナントがどんな風に音を出すのかを知っていて心地が良いのです。そしてドミナントは一晩で調整できます。”
”For the recording I kept my Jargar E, but I used Olivs.”
”レコーディングはヤーガーのE線はおいておいて、オリーブを使用しました。”
上記は私の拙い翻訳です、ご容赦ください。
ルノー・カピュソン(Renaud Capuçon)2016年5月24日追記
カピュソンほど優しく、ヴァイオリンとはこのように奏でるものなのだと学ぶ現代のヴァイオリニストはいないと言っても過言ではないのではないでしょうか。ジェラール・プーレ、アイザック・スターン、シュロモ・ミンツにも教わったようです。カピュソンはフランスのヴァイオリニストで、フランスらしさがあるヴァイオリンだと思います。ベートーヴェンのロマンスヘ長調やグリュックのメロディを弾くカピュソンもいいですね、こういう音楽が本当に美しく似合う人だという印象です。
彼は動画を見る限り、ラーセンを張っているようですね。
ラーセンは普通のラーセンの弦とヴィルトゥオーソ、ツィガーヌがあります。どの動画を見てもラーセンを張っているようなので、好きなのでしょう。
ラーセンはヴァイオリン弦よりもチェロの弦としてのほうがよく使われているかもしれませんが、ヴァイオリン弦もとても良いです。ラーセンの弦の特徴としては、テンション(=張力)が低くてより繊細な響きが出せる、そしてそのテンションの低さから弦が押さえやすいのはもちろん、ヴァイオリンらしい柔らかい音が出せます。ただ、テンションが低い弦一般的に言えるかもしれませんが、繊細であるということはボーイングの難易度が上がるということで、難しくなります。また音の柔らかさは反面できちんと発音できないと美しい音にならない、音がぼやけてただの弱々しい音になってしまいます。ラーセンの響きは弾いている本人にとってはヴァイオリンがよく響いてくれて素晴らしさを感じはまってしまうのですが、技術が追いつかないといざ聴衆としてラーセンの弦を弾いている人を聴くと、「あれ?」という感じになることがあります。結局、ヴァイオリンの弦というのはなるべく自分の演奏を録音する、あるいは人に自分のヴァイオリンを弾いてもらうなどして客観的にならない限り、ヴァイオリンのすぐ側で聴き演奏してる自分の気持ちよさでしか判断できないところが痛いですね。そしてこのラーセンの弦を通して私はそのことがよくわかりました。ただ、ラーセンの弦が素晴らしいことには変わりなく、ぜひヴァイオリンが底鳴りをする感覚をラーセンを通して学んでみることをおすすめします。
これが以前からあるラーセンのヴァイオリン弦。愛用している人を見かけることがあります。ラーセンの弦は調弦が安定しているので、オーケストラなどでも安心して使えます。
比較的最近になって開発されたのがLARSEN Virtuoso ラーセン ヴィルトゥオーソ。普通、張力が低ければその分音量が小さくなるのですが、低張力でありながら音量の大きさを実現した弦です。私のヴァイオリンにとってはG線が少し深みがないというか、あまりG線のくっきりとした発音が得られませんでした。A線とD線に関しては本当にとても良く鳴って大満足でした。E線に関しては質の割には少し高いかなという印象ですが、全体のバランスを考えられて当然作られているので、最初はセットがおすすめかと。
最後にLARSEN TZIGANE ラーセン ツィガーヌ。私は張ったことないのですが、ざらつき感が抑えられた柔らかい音色ということらしいです。張ったことがないので詳しいことは言えません、紹介にとどめます。
ロビー・ラカトシュ(Roby Lakatos)2016年5月24日追記
ヴァイオリンの怪人とも呼ばれるヴァイオリニストです。ハンガリーの人で、ジプシー音楽をよくやります。紹介の動画で挙げたのはラカトシュの十八番のチャルダッシュです。確かな技巧の持ち主で、演奏している動画を観ているととても楽しい気分になれます。
ラカトシュが監修したトマスティーク LAKATOS(ラカトシュ) ヴァイオリン弦を紹介します。
特徴としてはA線がスチール弦であるということです。ここは注意しなくてはいけなくて、ラカトシュに魅了されたからよしラカトシュのヴァイオリン弦を買おうと何も考えず買ってしまうと、A線の調弦に苦しみます。スチールなので、感覚としてE線と同じです、つまり調弦の感じが難しくなります。E線のようにA線にもアジャスターをつければもちろん調弦が簡単になります、なのでラカトシュに限る話ではないのですがスチールの弦を利用する際はアジャスターを考えるのが無難です。A線は一番はじめに調弦したいのにスチールではペグだけで調弦するのが難しくなりますので、アジャスターがなくてもやれないことはないですがナイロン弦などと比べると調弦に少しストレスがかかるかもしれません。その際はアジャスターをつけましょう。
さて、スチール弦は欠点が多いというわけではありません。現代ではE線以外にスチールを使う人は減りましたが、先に紹介したようにオイストラフは全弦スチールの時がありました。ラカトシュ弦はレスポンスの早さをメリットとしています。ラカトシュ本人を見てもわかりますがかなりの早弾きをする人でもあり、音がいかに軽い力加減で発音できるかは重要なのです。とは言うものの、びっくりするほどラカトシュ弦はレスポンスが早いようには私には感じませんでした、もちろんA線がスチールなのでその分のレスポンスの違いがナイロン弦と比べるとあります。D線、G線についてはトマスティークっぽい標準的な感じ、E線は少し強めですね。
他の人とは違う、少し変わった音色を目指してみようとする人、あるいはラカトシュが好きすぎる人にはおすすめです。
グレン・ディックタロー(Glenn Dicterow)2016年6月6日追記
ニューヨークフィルでコンサートマスターをしていたグレン・ディックタロー。トマスティークのVision SOLO(ヴィジョン ソロ)について誰かピックアップしたいなと思いトマスティークのカタログ見てこの方を挙げてみました。Vision SoloはVision(ヴィジョン)よりも人気があるような気がします。念のため、VisionとVision Soloは性質が似てはいるのですが、違う弦です。ただたんに「Vision」という時はVision Soloではなく、Vision弦のことを指します。値段は見ていただけたら分かる通り、Vision Soloのほうが高いです。Visionを選ぶ良さはやはり安さで、トマスティークの弦の中ではドミナントよりも安く買い求めやすい。ドミナントの後継的な存在としてVisionが後で開発されましたましたが、実際にはまったくもってドミナントの普及と比べると足元にも及ばないという印象。そもそもドミナント弦とは発する音の性質が違います。Visionの音色は良く言えば優しい音がします。少しドミナントよりも音が明るく、ふわ〜っと広がる音というよりかはフォーカスされた音、というタイプだと思います。さきほど安いのが魅力、とは言いましたが、トマスティークは他にも安価なナイロン弦を発売しており、コストパフォーマンスという点においてはALPHAYUE(アルファユー)を考えるほうが自然です。そして音量を考えるならVisionよりVision Soloを考えたほうが良い。つまりあえてVisionじゃないとダメだということにはよっぽどVision弦から出る音そのものに愛着がないと、という感じです。
VisionとVision Soloどっちがおすすめかと言われると、やはりVision Soloのような気はします。明瞭な発音、しかし温かみもある、すっと音が届くようなフォーカスされた感じも良いです。Vision Soloはいい弦だと思います、あとは好みにあうかどうかです。
余談ですが、高嶋ちさ子さんもVision Soloを張っているようですね。Twitterを見ればわかります。たまに違うのを張っている写真も見ますが、お気に入りなのでしょう。いちおうツイートも挙げておきます。ADGがVision Soloで、Eはゴールドブラカットの0.27ですね。
弦替えた。 pic.twitter.com/RWABdbjCYr
— 高嶋ちさ子official (@chisako824) 2015年1月14日
Vision SOLO
さきほどちらっとALPHAYUE(アルファユー)について触れました、もう少し詳しく述べます。トマスティーク社の低値段帯のナイロン弦で、ドミナントよりだいぶ安いです。良く言えばナイロン弦として最低限の要素を押さえたベーシックモデル、悪く言えば劣化版ドミナント、といったところでしょうか。G線にパンチがなくて少し弱い、全体的にドミナントからエッジを削ぎ落とした印象。でもテンション的にはドミナントと似通っているため、弦を押さえる感覚はドミナントと大差なく、練習用としては使えます。弦に強いこだわりがない人はアルファユーのような最低限のナイロン弦を使用しても十分な気がします。しかし、ドミナントが買えるならドミナントを買うほうがいいなあというのが正直な感想です。やはり、値段は値段なりの部分もあるのです。ヴァイオリンの中級者くらいまでならアルファユーのような安い弦で死ぬほど練習して早めにまた新品にするという使い方はありでしょう。はっきり言えますが、いつ替えたのかわからないほどの古い弦を使っているよりアルファユーを2000円台で張り替えるほうが100倍ましです。トマスティークもこの弦を演奏会用で演奏されるとは想定しておらず、あくまで学生などに向けた練習用の弦として謳っています。そして弾けばなるほど納得という感じ。ピラストロにヴィオリーノという弦がありますが、コンセプトは似ている気がします。しかしヴィオリーノは練習用としては高すぎて、寿命が長いという話も聞きますが、アルファユーの3倍の値段もすることを考えるとアルファユーを替えていくほうがいいという考え方もできます。アルファユーがどういうコンセプトで発売されて、どれくらいの値段でどれくらいのパフォーマンスが出せるか、総合的に考えて自分の考えとマッチする使い方ができるならとても良い弦でしょう。アルファユーの使いどころも知らず、他の高価格帯の弦と比較するのはナンセンスです。低価格帯の弦を望む人にとってアルファユーがどれほどの満足をさせてくれるか、それを考えたらアルファユーの存在価値が出てきます。
長々と書きましたが、バイオリンの弦選びのほんのご参考になれば幸いです。
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