中古車の輸出の仕事を辞めました。〜インターネットの可能性を信じて〜
ぼくが中古車の輸出を始めたのが去年の11月、そして先月をもちまして中古車の輸出のビジネスをやめることにしました。
ここでは、学んだことをご紹介できればと思います。
まずぼくは去年、慶應義塾大学に入学し、起業をしたいと思っていました。
しかし、たかだか19歳の若者にそう簡単に起業のネタが見つかる訳もなく、
またぼくは何かで特別なスキルがあるわけでもなく、
ただただビジネスをしてみたかった。
ぼくは昔、政治家を志していたときがありました。
それは無垢な青年がただ日本のために何かできないかと考えていた殊勝な心がけであったなと今は思います。
しかし、政治といえばごらんの通りなので(笑)、人に何かを直接届けるには
ビジネスが一番距離が近いと思いました。
いろいろ書いておきたいので、前置きなど長くなることご了承ください。
(「起業」というのは、さまざまな意味があるように思います。
人によっては独立すること、また人によっては今ないサービスを世に送り出すこと、
人によって「起業」の定義が違います。)
入学したのが4月、そして仕事を始めたのが11月ですから、半年ちょっとという期間になります。
きっかけを正直に申しますと、ドリームゲートでした。
ここでは専門家の無料相談をしてくれているので、今までに3回ほど利用させていただきました。
その内のひとりとは、今でも時々連絡して会える仲になっていて、
大変有意義であったと思います。
しがない学生ではありましたが、真剣に話を聞いてくれて助言してくださいました。
ドリームゲートのなかにトレードカービューで起業するというものを見つけ、
興味を持ちました。
日本の中古車を主にアフリカ方面に輸出する仕事です。
自分の車、あるいは業者の車をインターネットサイトにのせ、
そのサイトを運営している会社がカービューだったわけです。
はっきり言います。
ぼくは起業をするにはあまりにも無知すぎた、いや起業したからこそさまざまなことがわかったとも言えます。
ここで、簡単な業務内容を書きます。
主にこんな感じの流れになります。本当は海貨業者、通称では乙仲との取引もあります。
まずこの仕事の良さから。
この仕事にはダイナミックさと、ロマンがあります。
日本では10年以上も乗られた車だと誰も乗りたがりませんが、
海外では日本車の品質の良さから、大変人気があります。
それらをアフリカに持っていく、それを自分がやるところに何か世界とつながっているような感覚を持てました。
交渉はすべて英語です。英語が得意だったぼくは英語で仕事をすることにすごく面白みを感じていました。
ぼくはTOEICのための勉強もTOEFLのための勉強もあまりしたことがありませんが、
英語の本質はコミュニケーションにあり、その目的、ぼくの場合で言うと正確に車の情報が伝えられるかどうか、
決済条件をつめることができるかどうかでした。
英語はあくまで手段であり、本当に大事なのはそれで何をしたいのかということがわかりました。
僕の場合は車を海外バイヤーに売りたい手段が英語でした。
おそらく日本語で交渉できるなら日本語を使っていたことでしょう。
インターネットでの交渉にはある意味感動しました。
ぼくはカービューのサイトで交渉し、また電話はほとんど使わずスカイプで交渉しました。
インターネットは本当に世界とつながっているということが実感できました。
また、起業したことで起業した人とのつながりもできました。
これからはこの人脈を生かしてがんばります。
次にこの仕事の限界について。
ここからが、メインとなるでしょう。
先ほどインターネットの感動について書きましたが、
インターネットは人と人との結びつきを劇的に早めました。
そして、売りたい車の画像を簡単にのせることができ、情報の開示が圧倒的に楽になったと思います。
しかし、車を日本の港からアフリカの港まで持っていくには出港から1ヶ月ほどはかかります。
要するに、結びつきは早くなっても、物理的距離には限界があるということです。
車はインターネットサービスとは違い、実体をもつものです。
交渉自体は早くはじまっても、成立までには時間がかかることもある。
そして、車を港の近くに保管しておくのにもお金がかかるのです。
在庫リスクを抱えています。
出港が決まっても、都合上来月になることだって便によってはあります。
こんな中、必要経費がかさんでいきます。
そして、この仕事の最大のネックとなったのが利益率です。
これは業者それぞれの技能にもよるとは思いますが、基本的にぼくはやってみて超薄利でした。
それなのに扱うキャッシュはでかいので、リスク満々です。
車の仕事は、まぁぼくは1年しかやってないので大きなことは全く言えませんが、
ある程度まとまった現金をかなりのスピードで回していかないとやっていけないのではと
思っています。
ぼくみたいな貧弱な個人では難しい部分があります。
他にも、決済。
アフリカから直接自分の銀行に振り込まれることもありますが、
国によっては一度ニューヨークの支店を経由してからじゃないと
振込ができなくて、中間手数料を取られます。
また、為替レートもかなりの高めに設定されます。
例えば1ドル75円くらいでも73円分くらしか入ってこないんです。
入ってくる金額が振り込まれてこないとわからないなんて、計算のしようもないので、
すごく嫌でした。
現状をなげくことなど誰にでもできます。
その問題点を解決していこうとするのが、経営者の役割です。
ただ、決定的にやめようと思ったのは、なんとなく、「時代」なんです。
車を仕入れると運輸支局に輸出抹消と呼ばれる手続きをしにいくのですが、
そこで感じる空気感が…そうですね…ぼくにはすごく合わなかった。
もともと車の業界というのは大変古いと思います。
たとえばカーオークションに参加するのにも不動産をもった連帯保証人が必要です。
すごく…「古い」です。
ぼくは、インターネットによって時代を感じ、またそれを仕事にしていきたいと思っていましたが、
車のこのビジネスは、インターネット自体は導入されても、本質としてなにも変わっていないのではないかと。
ぼくは、インターネットを通じて、新しいサービスをどんどん展開してみたい、そう思うと、
車の仕事をずっと続けることにはあまり意義を感じられなくなった。
無知というのはおそろしいもので、取引先がどんな会社かもあまり理解していない部分があったことも否めません。
カービューはシステムの企業で、IT企業です。
自分はそのシステムを利用する側ではなく、作り、運営する立場でありたいのです。
カービューは昔は輸出を自分自身おこなっていたそうですが、今はシステムの運営です。
これにシフトした理由が、今は痛いほどわかるのです。
なぜ車の情報を一番持っている企業がリアルの輸出から撤退したのか、それをよくよく考えてみれば、
答えは出たのです。
ライブドア元社長の堀江さんは
- 利益率の高い商売
- 在庫を持たない商売
- 定期的に一定額の収入が入ってくる商売
- 資本ゼロあるいは小資本で始められる商売
が良いと言っています。
そう、これが本質なんです。
ぼくはビジネスを考える際、どうなっていくのか検討がつかなかった。
いや、検討とかする以前にもう行動してしまっていた。
それが20歳の若者の冒険といいますか、貿易という果てしなく大きな舞台へと出て経験したことは、
大変有意義であったと思います。
長文お読みいただきありがとうございました。
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